中外陶園ではたらく人 製造チーム 工房グループ 工房長 鬼頭 智さん

職場の明るい雰囲気に惹かれて入社。現在は「窯」の仕事を担当しています

私は現在、中外陶園の製陶部である「須原陶磁工房」で工房長を務めています。

入社したのは2005年、25歳の時です。瀬戸窯業高校(現在の瀬戸工科高校)で2年間、セラミック工学を勉強していた際に工場見学をする機会があり、いろいろなところを見たのですが、中外陶園は働いている人たちの雰囲気が明るくて、いいな、と感じて就職しました。

まずは本社に配属され、製造管理の仕事を6年間。2011年に工房に移り、以来、ここで仕事をしています。いくつかある製造過程のうち、私が担当しているのは「窯」の仕事。下絵をつけた状態の製品に釉薬をかける「施釉」と、それをガス窯に詰めて焼く「焼成」を毎日やっています。

自宅は瀬戸市内、車で20分くらいのところです。始業は8時半なのですが、少し早めに出社していますね。心配性なんです(笑)。基本的には工房にいて、自分の窯の仕事をしつつ、工房全体のこともまんべんなく見ています。

終業は17時半。退社して、18時には帰宅しています。家族で晩御飯を食べたら、6歳の息子と遊びます。私自身、子供の頃から絵を描いたり、粘土をいじったりするのが好きだったのですが、息子もものづくりが好きなようで、ふたりで絵を描いたり、空き箱でロボットなんかをつくったりして、休日もそんな感じで朝から寝る前までずっと一緒に遊んでいますね。

昨秋、地元の「せともの祭」に行った時は、出身校の瀬戸工科高校の出店で絵を描いて、カンバッヂにしてもらいました。息子が描いたのは私と妻かな? 楽しい思い出になりました。今年は卒園式、小学校の入学式と続くので、有給をとって参列したいと思っています。

釉薬をかけて、窯で焼く。美しく焼き上がった品物を見るのは本当に嬉しい

窯に火を入れるのは、だいたい、週に1度です。30cm角ほどのやきもの用の板に、大きいもの小さいもの、さまざまなサイズの品物がありますが、それをぎっしりのせて、100枚ほどで窯がいっぱいになります。ガスを点火して、そこから約20時間。窯を開けるときは毎回楽しみで、「うまく焼けているといいな」と思います。

ほんの少しでもゴミが入っていたり、色うつりがしたりするだけでも、焼き上がった段階で不良品になってしまうので、窯の仕事というのはどんなに気をつけていても、最終的には「開けてみないと分からない」ところがあります。だからこそ、うまく焼けたときは「よし!」という感じです。弊社の新製品に「SETOMANEKI」というシンプルなデザインの招き猫があって、たくさんのカラーバリエーションがあるうち、須原陶磁工房では「白」を製作しているのですが、ある時、ひと窯全部、きれいに真っ白で焼けたんです。あのときはすごく嬉しかったですね。

今は、窯で焼く「焼成」も、窯に入れる前に釉薬をかける「施釉」も、1人で担当しています。適した濃度の釉薬をつくり、そこに下絵を済ませた品物を手でトプン、トプン、とひとつずつ浸けていきます。持つときに指を置いた場所はどうしても釉薬の付きが薄くなってしまうので、最後にチョン、チョン、と、釉薬を垂らしてやる。こうした細かいことで、仕上がりが大きく違ってくるので、気を抜けません。 「施釉」を終えた品物で窯をいっぱいにして、「焼成」して、焼き上がって窯を空にしたらまた次の窯のために「施釉」する。製品づくりの一工程を、責任をもって担っています。

たくさんの招き猫に囲まれての仕事は、どんなに忙しくても和んでしまいます

須原陶磁工房では、「施釉・焼成」を含め5工程が行われます。

まずは「鋳込み」。型に石膏の原料を流し込み、型を取ります。現在2名の鋳込み師で行っています。

次に「仕上げ」。型から外した「素地(きじ)」の表面を整えます。型の合わせ目をきれいにしたり、別のパーツがある場合はそれを接着したり。

そして「下絵付け」。呉須(ごす)という顔料を使って、染め付け技法で下絵付けをしていきます。

ここで私が担当する「施釉・焼成」。釉薬をかけ、ガス窯で約1300℃で20時間かけて焼きます。

最後は「上絵付け」。金や赤など鮮やかな色と、繊細な線を絵付けします。

ほかに、水彩絵具で仕上げる品物などもあります。ひとつひとつ、手作業で製造しています。

私は工房に来てすぐの頃は仕上げを担当し、その後は窯専門でやっていましたが、工房長になってから他の部門に目を向けるようになると、改めて「すごいな」と思うことがたくさんありました。鋳込みも、絵付けも、各部門がレベルの高い仕事を日々続けていくことで、最終的によい品物ができ上がっていく。そのことに、やりがいを感じています。

私の入社の決め手になった「明るい雰囲気」は今もそのままです。20代から60代まで、年齢の幅は広いですが、人数が少ないからこそ、コミュニケーションをとり、サポートし合いながら仕事を進めています。私自身、工房に来た時には仕上げも窯も経験がありませんでしたが、先輩に教えてもらいながら成長してきました。

もちろん、スケジュールが詰まって忙しい時もありますが、扱っているのが招き猫や干支だったりするからか、いつもちょっと面白いというか、和んでしまう(笑)。可愛らしいもの、縁起のいいものが大量にあるというのも、この職場の魅力なのかもしれません。

「ものづくりが好き」という気持ちがあれば、きっと、この仕事は楽しい

仕事をしながらよく思うことは、弊社の品物は縁起物なので、買われていった先のお家やお店で、いい場所に置いてもらうんだな、ということ。だから日々、何百個もつくっていますが、ひとつひとつがとても大切に感じられます。

だからこそ、これからもっと、いろんなところで弊社の品物が見られるようになるといいなと考えています。自分たちがつくったものが、たくさんの場所に置いてもらえるように、もっともっと広めていきたいですね。

弊社に興味をもってくださるのは、ものづくりが好きな方が多いと思うんです。そんな方たちにお伝えしたいのは、「想像している以上に、やってみると面白いことがたくさんあります」ということ。私自身もそうでした。仕事をとても楽しめています。

まったく経験のない方でも興味があれば大丈夫。仕事をしながら勉強していきましょう。

お気に入りの招き猫は、昔ながらのデザインが魅力の「古瀬戸」

お気に入りの招き猫は、昔ながらのデザインが魅力の「古瀬戸」

個人的に古風なデザインのものが好みなので、「古瀬戸」タイプが気に入っています。昔ながらの招き猫のイメージですね。白い釉薬をかけて焼いたものに彩色しています。自分が焼いたということもあって、この招き猫が好きです。

お気に入りの招き猫は、昔ながらのデザインが魅力の「古瀬戸」

中外陶園ではたらく人 製造チーム 工房グループ 工房長 鬼頭 智さん